TARGET

主な治療対象

膝前十字靭帯損傷

膝前十字靭帯とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間で膝関節の中にあり、脛骨の前方動揺と回旋を制動し、関節の安定を保つための靱帯です。

引用:グレイ解剖学アトラス 原著第1版

前十字靭帯損傷の原因

受傷の原因は様々ですが、スポーツで受傷する場合は大きく2つに分けられます。

  • 接触型:コンタクトスポーツなどで直接相手と接触する際に受傷するラグビー、フットボール、柔道など
  • 非接触型:急な方向転換、ジャンプ着地動作などで受傷するバスケットボール、サッカー、バレーボールなど

症状

症状として、受傷時に「膝が外れた感じ」や、「断裂音」が聞こえると言います。そして、痛みや腫れ、膝の曲げ伸ばしの制限が出ます。また、一度損傷した前十字靭帯は自然修復することはありません。そのまま放置しておくと膝が抜ける「膝崩れ」をおこし、膝関節内の半月板や軟骨を損傷してしまう危険性も十分あります。またレントゲンのみでは分かりませんので、MRI検査で明確な診断を受けることが必要不可欠です。

前十字靭帯損傷のMRI画像

前十字靭帯の関節鏡所見

 

手術

一般的には、膝の前方にある腱(膝蓋腱)や太ももの裏にある腱(半腱様筋腱・薄筋腱)を採取し、移植していきます。
A.膝蓋腱(膝蓋靭帯)
膝蓋骨と脛骨のあいだにある腱で、1cmほどの幅で骨を付けて採取する
B.半腱様筋腱・薄筋腱
膝関節後面内側にある膝屈筋腱を採取する

リハビリテーション

前十字靭帯再建術後のリハビリは、日常生活動作の獲得を目標とする「メディカルリハビリテーション」と、スポーツ復帰を目標とする「アスレティックリハビリテーション」に分けられます。

メディカルリハビリテーション

手術翌日から開始し、入院中の1週間から10日ほどは患部の痛みや状態に応じて、少しずつ関節可動域の改善や筋力回復を図っていきます。手術後1ヶ月程度で正常歩行まで改善してくると、競技復帰を見据えて、スポーツ全般に基本的な動作となるスクワットやランジといった動作を練習し、より強度を上げて筋力強化を図っていきます。

アスレティックリハビリテーション

手術後3ヶ月程度経過すると、日常生活での問題はほとんど解消されます。膝の関節可動域の制限も改善され、軽いジョギング程度の運動であれば可能となります。アスレティックリハビリテーションでは、手術をした患部のみのトレーニングだけではなく、患者様個人の身体状態に応じてスポーツ動作に必要な体の機能を、全身的にトレーニングしていきます。最初は基本的な動作を行い、徐々にダッシュやジャンプ、ステップ動作など運動強度を上げていき、より競技特性に特化したトレーニングを行なっていきます。また、身体の筋力、持久力、柔軟性、俊敏性、瞬発力といった体力面と、動作のコーディネーションなど身体機能全体の向上を図り、競技復帰だけでなく、最受傷の予防にも努めます。手術後6ヶ月程で医師からスポーツ復帰の許可が出されると、さらに運動強度を上げながら競技復帰を進めていきます。完全に競技へ復帰するにはおよそ7~9ヶ月程度要します。

 

術後リハビリテーションの流れ

当院の特色としては、病院併設のメディカルフィットネスCUOREを利用して、より集中的にアスレティックリハビリテーションを行える環境を提供しています。理学療法士によるオアーダーメイドプログラムで、より早く、安全に競技復帰できるように努めています。詳しくは当ホームページのリハビリテーションをご覧下さい。

 

当院の取り組みが「TeNY医療の広場 専門医のススメ」に紹介されました

MOVIE 「TeNY医療の広場」から ~前十字靭帯損傷 術後リハビリの重要性~

予防医療の考えから生まれたフィットネス メディカルフィットネスCUOREはあなたの健康をサポートします